大事な写真や動画をクラウド(オンラインストレージ)にもバックアップしておきたい!でも、どこが良いのか、どのように選んだら良いのか分からない…。
そういう場合にオンラインストレージサービスを選ぶ際の注意点を別記事でまとめました。
では結局、どこが良いんでしょうか?
今回は、諸々の事情を考慮した私なりの選択、オススメについてまとめてみます。
オンラインストレージサービスを選ぶ基準
データをバックアップするためのオンラインストレージサービスを選ぶにあたって、私が選択基準として重視した事柄は以下の通りです。
2.預けたデータの頒布・公開の権利がストレージ会社側に付与されるという記載が利用規約に無い
3.データを圧縮・加工されない
4.信頼性が高い
5.コストパフォーマンスが良い
以上の4条件を加味した結果、最終的には
Amazon Drive
と
Flickr
を選ぶことにしました。
では、条件について詳しく確認してみましょう。
Amazon Drive
1.一定期間ログインしなくてもデータが削除されないか?
この条件を満たしています。
1年毎の自動更新となります。
2.預けたデータの頒布・公開の権利がストレージ会社側に付与されるという記載が利用規約に無いか?
利用規約には、以下のようにあります。
3.3 本サービスの提供に伴うアマゾンのお客様ファイルの利用 アマゾンは、お客様に本サービスを提供し、本利用規約を行使し、また、アマゾンのサービスをより良くするために、お客様ファイルを利用、保持、およびこれにアクセスする場合があり、お客様はアマゾンに対してこれらの行為に必要な許諾をするものとします。これらの許諾は、たとえば、お客様ファイルをコピーする権利や異なる形式でのアクセスを可能とするためにお客様ファイルを変更する権利、お客様に代わってお客様ファイルの整理をするために当該ファイルの情報を利用することおよび技術的サポートを提供するためにお客様ファイルへアクセスすることを含みます。アマゾンはお客様のプライバシーを尊重し、お客様ファイルにはwww.amazon.co.jp/privacyに掲載された Amazon.co.jpプライバシー規約が適用されます。
引用元:https://www.amazon.co.jp/gp/help/customer/display.html?nodeId=201376540
「お客様ファイルの利用」という表現がやや引っかからなくもないですが、あくまで「サービスをより良くするために」利用するということであり、おそらくファイルの自動整理機能などのために画像ファイル内の情報を使う、ということでしょう。少なくとも、普通に解釈すればそこにデータの公開や頒布という行為が含意されているとは読めません。
顧客のファイルに適用されるというプライバシー規約を含め、問題はないのではないかと思います。
3.データを圧縮・加工されないか?
原則として圧縮や加工はされません!
ただし、アップしたデータをダウンロードする際、クライアントソフト(Amazon側が用意している専用ソフト)を用いないでダウンロードすると、拡張子やサイズが圧縮変更されたデータになるようです。これには注意が必要ですね。
クライアントソフトでダウンロードすれば元と全く同じデータが手元に戻ります。
アップロードする1ファイルあたりの容量は、クライアントソフトを用いれることで制限はなくなります。そもそもクライアントソフトを用いなくても2GBですし、全く問題はないと思います。
4.信頼性が高いか?
これは全く問題ないでしょう!
なんといっても小売業では世界の覇者となりつつあるAmazonですよ。
少なくとも、どこそこのデータセンターが竜巻や台風で故障・停電したのでサーバ落ちました、なんてことはないでしょう。
5.コストパフォーマンスが良いか?
費用は1TBで年間13800円です。
1ヶ月あたり1150円ですね。これは特別安いわけでも高いわけでもなく、(そりゃもちろん1TBで考えると飛び抜けて高いSugarSync[$55/月→6215円/月] やADrive [$250/年→約2354円/月] と比べれば安いですが)を除けば、他とあまり差はありません。可もなく不可もなくといったところです。
というわけで、条件をいずれもクリアしていました。
まあ、決め手は規約の内容と信頼性ですかね。
※ Amazon Photosを使えれば鬼に金棒
これはオンラインストレージを選択する基準としての条件には含まれていませんが、私はAmazonプライム会員なので、Amazon Photosを使えるという大きな利点があります。
Amazon Photosとは、プライム会員であれば利用できるオンラインストレージのことです。
このAmazon photos、追加料金無しで利用できる(つまり単にプライム会員というだけで利用できる)容量は5GBなのですが、画像ファイルに関しては無制限で保存できるのです。
画像だけとはいえ、無制限ですよ !!!!!!!!
対応するファイル形式は公式ヘルプによれば、
JPEG、BMP、PNG、GIF、大部分のTIFF、HEIF、HEVC、およびRAW形式のファイル
Amazon Photosのファイル要件 - AmazonカスタマーサービスAmazon Photosは、一般的な写真や動画フォーマットに対応しています。
となります。ほぼ全ての画像ファイルと言って良いですね。
さらにRAWファイルも保存できるのが凄い点です。
RAWファイルというのは、撮影した映像、すなわち光の集合体をカメラの内部機器が電気信号として記録した「そのまま」の情報が記録してあるファイルのことで、早い話がまだ画像になっていません。
デジカメで撮影した結果得られている画像ファイルは、RAWデータを画像として組み立てた結果のものです。JPG画像などは情報を適宜削除して調整・圧縮されたデータとなります。
難しい表現ですが、RAWファイルとは要するに「カメラが受像した光の集合を全て電気信号として記録した生データ」ということであり、RAWファイルがあれば画像の明るさや明暗を自由に調整できるわけですね。被写体以外の背景をぼかしたりすることも可能になります。
ただ、生データになりますので容量は当然大きいですし、その記録形式もカメラの各メーカーごとに異なっています。
Amazon Photosが対応しているRAWファイルは
・Nikon(NEFファイル)-Nikon D1、Nikon D1X、Nikon D4、Nikon Coolpix A、Nikon E5700、Nikon AW1、Nikon D800、Nikon D50、Nikon D610
・Canon(CR2ファイル**)-Canon 5D、Canon 1D、Canon 1D MarkIIN、Canon Rebel SL1、Canon 60D、Canon 5D MarkIII、Canon 1D MarkIV
・現在のところ、ARW (Sony)、CRW(Canon RAW CIFFイメージ)、またはORF (Olympus) のファイルは、Amazon Photosで写真ファイルとして保存できます。ただし、プレビューは閲覧できません。この種類の写真を表示するには、アカウントから写真をダウンロードし、適切なプログラムを使用して開いてください。https://www.amazon.co.jp/gp/help/customer/display.html?nodeId=201649930
とのことですが、実際はここに明示されていないメーカーのRAW形式も含め、ほぼ全てのRAWに対応しているのではないか?という報告があります。
公式では対象とは明記されていないPanasonicのRAW画像(RW2)でも写真ファイルとして保存され、プレビューも表示できています。また、サンプルデータを入手して富士フイルム(RAF)や ペンタックス(PEF)でも試してみましたが、こちらも写真ファイルとして認識されます。プレビュー表示も富士フイルムを除けば正常に閲覧できます。
どうやら、公式ページ上は対応していなくても、RAW画像ならメーカ関わらず写真ファイルとして容量無制限で保存できるみたいです(よっぽどマイナーなメーカーでもない限り)。
https://xn--pckxe.jp/prime-photo#toc_id_1_2
まぁ要するに、Amazon Photosはほぼあらゆる画像ファイルを無制限に保存可能なオンラインストレージということです。
Amazonプライム会員なら、これが追加料金無しに使えるんですよね。
はじめにAmazon photosの容量は「5GBだが画像に関しては無制限」と書きましたが、要するに上に挙げた画像ファイルは無制限で、それ以外のファイルはその5GBの枠に保存されていくということです。
この5GBを越えて保存したい場合は追加料金がかかりますが、それがすなわちAmazon Driveとなります。
つまりAmazon PhotosはAmazon Driveと親和性が高いということです。というか、その2つは実質的に同じオンラインストレージで、Amazon Driveのくくりの中で「画像ファイルは無制限に保存可能」というプライム会員だけが使えるサービスの部分をAmazon Photosと名付けている、とも言えるでしょう。
ところが現在、インターフェースはAmazon Photosで統一されています。つまり追加料金を払ってAmazon Driveを利用する人も、Amazon Photosの画面からファイル操作を行うわけです。
これはおそらく上記のようにAmazon DriveとAmazon Photosは同じオンラインストレージながら、プライム会員契約のみしているユーザー(すなわちAmazon Photosだけを使える人)が圧倒的に多いために、そのようにしているものと思われます。
まあ要するに、Amazon Driveは「プライム会員であれば画像ファイルは無制限保存」という特典がついてくるとも考えることができるわけで、私はプライム会員ですから、これもAmazon Driveを利用することに決めた理由の一つとして大きい、ということです。
Flickr
Flickrは、正確にはオンラインストレージサービスではありません。世界的には非常にメジャーな、写真を共有するSNSサービスです。
ただ他のSNSと異なるのは、無料で1TBもの容量が与えられ、画像・動画ファイルを劣化なしでアップロードできることです。
非公開設定にしておけば他の誰にも見られることはありません。
つまり、実質的には画像・動画に特化したオンラインストレージとして使えるのです。
では、果たして基準を満たしていると言えるでしょうか?
1.一定期間ログインしなくてもデータが削除されないか?
FlickrはアメリカのYahoo.comのIDでログインします(Yahoo!JapanのIDとは異なります)。
12ヶ月間ログインしないと、Yahoo.comのIDは削除されてしまうようです。
ただその場合もアップロードしたファイルは残されるらしく、新たなYahoo.comのIDを再取得した後に個人情報がきちんと旧IDと関連付けられれば、過去にアップしたファイルにまたアクセスできるようになります。
参考:https://bey.jp/?p=4924
ですので、実質的には問題なしと言えます。
2.預けたデータの頒布・公開の権利がストレージ会社側に付与されるという記載が利用規約に無いか?
Flickrの利用規約によれば、画像のExif情報などは自動的に収集され、また画像シーンに関する情報を自動認識技術で得ることによって画像の整理・検索のために用いているそうです。
それらの情報ですが、Sharing of Information(情報の共有)という項目を参照すると(https://www.smugmug.com/about/privacy-flickr)、Fllickr管理のために他の業者と共同で業務を行うことがあり、それらの業者が業務上で利用者の情報を必要とする場合には共有することがある、というようなことが書かれています。また、ユーザーの同意のもとでそれらの情報は共有される場合があり得る、とも書かれています。
そもそもが写真共有サイトであって純粋なストレージサービスではないのでこれは致し方ない事でしょうが、他の業者と情報を共有する際にはFlickrも個人情報取り扱いについて厳密な契約を結ぶはずですし、神経質にならなくても良いのではないでしょうか。
規約の他の部分も含め、画像そのもののやり取りをユーザーの同意なく行うだとか、画像の公開や頒布の権利を持つなどの文言は見当たらないので、規約に関しては問題ないと判断しました。
3.データを圧縮・加工されないか?
これは問題ありません。ファイルの種類によっては問題ありません。条件を満たせばFlickr側にデータをいじられることはなく劣化無しの元の状態のままで保存しておけます。
条件としては…
- 画像ファイルは
JPEG、PNG、GIF(それ以外のフォーマットはJPEGに変換されます)
- 動画ファイルは
MP4、AVI、WMV、MOV、MPEG1・2・4、3gp、M2TS、OGG、OGV
というものです。
通常用いられるフォーマットは網羅していますね。
とはいえ、画像の拡張子が限られていることに注意が必要です。JPEGは多くのデジカメ画像のフォーマットともなっていますし一般の人が使うぶんには全く問題ありませんが、JPEGという形式そのものがデータを不可逆的に省かれ圧縮されたものです。
そして、前述したRAWファイルにも対応していません!
これは残念ですが、Flickrはあくまで画像共有サイトであり、プロユースは想定していないということなんでしょうね。
なおアップロードできる容量は、
- 画像ファイルは200MB
- 動画ファイルは1GB
が上限になりますが、家族写真やイベント写真・動画でこれを超える容量のものはまずないはずですので、問題になることはないと思います。
なお動画をブラウザもしくはアプリ上で再生できるのはフリー版で3分、Pro版で10分までとなっていますが、データのバックアップに使うだけならそのへんはあまり関係ありませんね。
なお、言うまでもないことですがFlickrはその性質上、メディアファイル(画像か動画)しか保存できません。Microsoft Officeの文書、PDFなどを保存したいときはもちろん、別のオンラインストレージを検討せざるを得ません。
4.信頼性が高いか?
Flickrはグローバル的に見ても写真共有サイトの草分け的存在であり、大規模なコミュニティができています。
Yahoo!参画を経て、前述のように現在はSmugMug(これも以前からある写真共有サイト)に買収されましたが、SmugMugはそのままFlickr単独での運営を継続する方針のようです。
相当なことが無い限りは無くなってしまうようなことはありませんし、データの保存や取扱に関しても盤石だと思って良く、少なくとも積極的に心配するような要素は見当たりません。
ただ、かつて米Yahoo!では10億人分の個人情報流出というとんでもない事件が過去にありました。
これをどのように評価するかは人それぞれだと思いますし、現在はYahoo!からは離れているFlickrですが、気にする人はいるかもしれませんね。
5.コストパフォーマンスが良いか?
これはもう、無料ですからコスパは最高です。
有料版のFlickr Proですが、かつてはPro版にすれば使える容量が無制限になりましたが、現在はPro版でも1TBの上限は変わりません。
またPro版の特典としては専用のアップロードツールが使用できるという利点はありますが、その他の特典は閲覧された写真の統計が見れるとか主に管理についてのもので、ストレージとして利用する際には必要のないものばかりです。
アップロードのためにはサードパーティのツールも使えますし、Pro版にする理由はないと言って良いと思います。
以前はFlickrは1TBまでのアップロードが無料でしたが、今やフリー版は1000点のファイルに制限されてしまっています。そのためメディアファイルのバックアップ用に心置きなく使うことは、フリー版ではもはや無理です。
Pro版は年間$49.99かかりますが、容量無制限で保存できます(以前のPro版は年間$24.95と今より安かったとはいえ、容量の上限はかつてのフリー版と同じ1TBでした)。
$1=108円(2019/6/10現在)とすれば$49.99は5,398円。
約5400円と考えても、年間5,000円+消費税8%と大差ないですね。
月あたり税込み450円です。
保存できるファイルは画像(主にJPEGかPNG)と動画だけとはいえ、容量無制限で使えるオンラインストレージとして$4ちょっと、月450円程度というのは他になかなかありません。
その意味ではPro版にしたとしても、依然としてファミリーユースとしてはコスパが高いと言えるのでは?と個人的には思います。
ストレージサイトの使い分け
以上、私がAmazonとFlickrを選んだ理由をまとめてみました。
ただしFlickrは上記のように諸々の制限があります。あくまで写真共有サイトなので仕方のないところですよね。
ですので、
・Amazon
通常の写真・動画、rawファイル、その他諸々のファイルをバックアップするのに用いる。メインで用いる。
・Flickr
通常の写真・動画のみをバックアップする。補助的な役割。
使うとすれば、このような使い分けが良いでしょうね。
そもそも、ローカルでのバックアップにAmazon Driveへのバックアップを併用する時点でかなり安心なのですが、通常の家族写真・動画は他のクラウドへも二重にバックアップできたらさらに安心であり、Flickrを使えば安価にそれが出来るとなればもう十分に満足です。
もう一つのオススメ
なお、管理規約さえ気にならなければ
FINALBOXが最高・最強です。
・容量無制限
・有料プランを解約してもデータは保持され、再契約すれば同じデータにアクセス可能
・通信速度が速い
・1000円/月という最安レベル
何か罠があるのでは?というくらい良いこと尽くめです。
自動同期機能やモバイルアプリはありませんが、バックアップ先として用いるだけなら全く支障はないでしょう。
かりに
「普段はあまり参照することはないが、なくなるのは困る10TBのデータ」
があったとします。このデータを、FINALBOXなら
↓
有料プランを解約して無料会員に戻る
↓
その後、費用は一切発生しない
↓
データ参照が必要になったら1000円で有料プランを再契約、データを参照する
という使い方もできるわけです。凄すぎますね。
そもそも自分でこだわっておいてなんですが、管理規約なんてものは大袈裟な予防線を張っているだけで、このご時世、個人データを勝手に公開したりすることなんて99.9%ないはずなんです。
こだわりがなければFINALBOXも是非検討してみて下さい。
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